今日、僕は母ちゃんと2人っきりで釧路にお出かけしました。これは僕が生まれてから、多分2度目のこと。4人きょうだいの僕達にとって、母ちゃんと2人っきりになれるのは病気の時だけ。だから僕は、毎朝起きると「頭がいたい」とか「足がヒリヒリする」とか「腕が曲がらない」とか言うんだけど、母ちゃんは決まって「それは大変!」というだけ。僕はもうこうなったら、滑り台の上からから飛び降りたり、僕が日曜日に預けられているB先生うちの隣でつながれっぱなしにされているアノ黒い犬にかじられでもしないとダメなんだろうと諦めていた。
だけど、今日チャンスは突然やってきた。
僕の鼻は夏じゅう鼻水ですごかった。保育園のアコ先生もたびたび母ちゃんに「病院行ってあげてくださいね」って言ってたけど母ちゃんはウチに帰ると「鼻水では死なない」とか言っていた。だけどその鼻水もとうとう鼻血になってきて僕が度々大騒ぎになるのでこれは大変!とやっと思ったのだ。
今日は雨降り、母ちゃんは「なんだか木が切り絵みたいで寂しい感じ」って言った。僕は母ちゃんが寂しいといったので僕も寂しい気持ちがしてきた。
僕は母ちゃんに、「ねえ、ルパン3世やって!」ってお願いした。ルパン3世というのは、朝保育園に行くときなんかに、母ちゃんが牧草地の間を車をクネクネさせてぶっ飛ばしてくれる、スリルあるやつの事。その度に僕達は車のあっちこっちへぶつかったり、座席の下に転がり落ちたりして大笑いする。
母ちゃんはいつもルパン3世の後は決まって「こんなことをするのは、本当はいけないことなんだよ」と言う。そして、「いけないけどやったら面白い事はいっぱいあるね」とも言う。今日は大きい道路だし、他の車がいっぱい通るからできない、と言っていた。とても残念だ。
母ちゃんはよく、車を運転しながら写真を撮ったりする。これも「本当はやったらいけないんだけどやると面白い事」なんだそうだ。
僕が「車停めたらいいんじゃない?」って言うと母ちゃんは「それだと面白くないの」と言った。
僕はだんだん眠たくなってきた・・・・・
母ちゃんの聴く音楽が今日はいつものと違っていた。僕には歌っている人が男なのか女なのか解らないような声だった。僕は何度も聴いているうちに少しだけ覚えてしまったから、歌ってみたら母ちゃんはビックリしてから大笑いしたので、嬉しくなってまた歌った♪
シラルトロ湖には、もう白鳥の群れがやって来ていた。僕も母ちゃんも嬉しかった!
僕の目が覚めてもまだ釧路には着いていなかった。僕は母ちゃんに「あとどのくらい?」って聞いた。「もうすぐよ、もうすぐ」って言うときはまだまだだと僕達きょうだいは知っている。本当にもうすぐになると母ちゃんは決まって「タイガーマスクの歌1回歌ったら着くくらい」とか、「クイズ5つやったら着くくらい」とか言ってそうしてくれたりする。
僕は母ちゃんに「サンタさんは本当はどんな名前なの?」って聞いた。この前姉ちゃんのMがそんなことを話していたからだ。母ちゃんは「セント・ニコラウスさんみたい」と言った。その人がプレゼントを持ってきてくれるのか?と聞いたら、「そういう時はラッキーで、セント・ニコラウスさんは忙しいからその親戚のこの人もまたニコラウスという名前の男の人たちが手伝って配るの」だと言う事だ。去年、保育園に来ていたアレもセント・ニコラウスなのか?と聞いたら母ちゃんは、「内緒だけど、どうもアレはニセモノ臭かった」といって「このことは保育園で話してはいけないのだ」とも言った。僕は話さないと約束した。
僕は眠くて時どきガラス窓におでこをぶっつけるから母ちゃんが笑った。今日の母ちゃんはいつもみたいにガミガミ怒らない。母ちゃんは「Tちゃん、手つなごう」と言って僕達は手をつないだ。母ちゃんはずっと片手で運転して、僕はなんだか変な気持ちがした。
母ちゃんは「海の近くに降りてくるのが好き」って言ったけど、海がどこにあるのかわからなかった。
それから僕達は虫クイズをやってから僕の鼻の病院に行った。僕は今日はお利口さんだったので、もう前に病院に行った時みたいに、看護婦さんに吸入器を投げつけたり悪態をつたりひとつもしなかった。
帰り、「内緒で美味しいケーキ屋さんかアイスクリーム屋さんに行こうか?」と母ちゃんは言ったけど、僕が「ポテトがいい」と言ってハンバーガー屋さんに行った。僕はしょっぱなからジュースを全部こぼしてしまったけど、母ちゃんはいつもみたいに怒らなかったし、お店の人達も優しくて、しかも新しいジュースを入れて持ってきてくれた。今日は僕にとって、生まれて初めてフライドポテトを誰とも分けなくていい日だった。初めて独りで全部食べても良かったんだ!これはすごい!
母ちゃんの後ろでは、オバサン3人がペチャクチャお喋りばかりしていた。僕が「ねえ、あの人たちご飯なのにお喋りばっかりしているよ、恥ずかしくないのかなあ?」って言うと、母ちゃんは大笑いして「恥ずかしくないんだよ」と言ってまた笑った。僕もおかしくなって2人でずっとずっと笑って、それを見ていた隣のお姉さんがまた笑ったから、僕は嬉しかった。
帰り、チョコレート屋さんで他のきょうだいの為におみやげを買った。これで、ウォンカのチョコレート1枚を分け合う時みたいに、姉ちゃんにとび蹴りされることもあるまい・・・
「これ(20個入りの)ください」
その後、突然お店の女の人がやって来て僕に風船をくれた。母ちゃんに、「どうしてくれたの?」と聞いたら「それはTちゃんがあんまりイケメンだからだよ!」と言っていた。今日の僕はついている。
僕はゼッタイ手を離さないように気をつけながら風船を持って帰った。帰ったらFちゃんにあげようと思う。
追伸:僕の着ていたコットンリネンのコート(オールドマンズテーラー製)
僕の被っていたUSED HUNTING(ヨーロッパUSED)
いずれも、辻谷商店にあります。
子供用のブーツも届きました。
子供用のUSED帽子もいっぱい入荷!母ちゃんがちゃんとお知らせしないから、私達がやってるって訳。もちろん店売りのガムと交換条件でね!
何だかほのぼのだねぇ。兄弟がいる気持ちは1人っ子の私には理解出来ないけど、家の娘も私と2人っきりで出掛けるのを喜ぶ。
数時間だけ母を独占出来る喜びなんだろうね。
きっとT次郎も独占できて嬉しかったんだろうね♪
大人になっても思い出して懐かしんで心が暖かくなるといいね。
いくつになっても男の子はマザコンだからね。
私も何だかほのぼのしたわ♪
数時間後には、暴れん坊が帰宅するまでの間だけど・・・。
投稿情報: ハオハオ母 | 2010/11/11 13:38
ハオハオ母ちゃん
え?一人っ子なの?考えたこと無かったよ。姉御っぷりいいから弟とか3人くらいいそうな感じするね(笑)
そう、男の子は本当にお母さんが大好きだよね。男の子といると、小さい彼氏といるみたい。うちの双子はどちらもたれ目だけど、その目がもっともっとたれ目になって情けない感じすらするわ。ケートもそうだよねえ。そして母親は男の子に甘いのだ。ってどう?
投稿情報: あや | 2010/11/12 03:59