夢は大きく インテリジェンスは低く 辻谷商店+つじや食堂ブログ

本日もよろしく！

 こんにちは！辻谷商店、つじや食堂は本日もごきげん営業中です。

辻谷商店は連日、雑貨、食糧品、ＣＤ、衣料などなどが入荷中。レジ周りは作業場と化しております。キャンプしている人達や、毎年この時期になると必ず来てくれる鮭バイ（鮭のバイト）の人たちにも会える秋がやってきました。つじや食堂のカレーも夕方前には完売することも多く、嬉しいでっす！ありがとう。

では、お店でお会いしましょう・・・。　　　　辻谷商店みんなより

 

先週、そよ風のように現れそよ風のように旅立った、フランス人のトーマがＫａｔｚに置いていったというインド音楽を聴きながらこれを書いています。インドの美女二人（多分）が、いつ終わるとも知れない３コード・４分の４拍子の伴奏に乗せて、延々と唄い続けるメロディーに１時間近くもぼんやりとしてしまいました。本当にこの人たちは、何について、この先何時間唄い続けるのでしょう。しかしこの繰り返しがわたしに及ぼす影響はやさしくも偉大で、先日わかり合えなかった、言語の異なる日本人との時間のことも、なんだかいつか観た映画のワンシーンのように、滑稽でいとおしいことに思えてくるのでした。「こういうの好きでしょ？」といいながら、このメロディーを流したまま上階に上がったＫａｔｚにも脱帽、なのでした。

それにしても、トーマ、今どこにいるのだろう？初めて彼を見かけたのは和琴半島でキャンプをしていた夜のこと。友達と半島の温泉につかった後、月明かりを頼りにテントまで戻る途中、大きな木の下でテントも無しで眠っている人の影を見ました。翌日またその木の下で、尺八を吹く清貧な西洋人に気が付く。なんとなく心の中に残っていたこの人が、休暇明けの辻谷商店のソファに座っているのを見たときには、人の縁というものを感じました。

５日の「Ｐｉｋａｉａ　Ｐａｎｄｅｉｒｏ　Ｓｐｅｃｉａｌ」ライブのオープニングアクトで、笛を吹くトーマ。

穏やかな表情で吹いているが、いっぺんに２本をくわえ、それぞれから全く別のメロディーを出すというすごいことをやっているのですよ、の図。

 

 

４日、この町で開催された「こどもフェスティバル」会場にて。Ｋａｔｚが、「弟子屈の子ども達にも聴かせてあげたら？」と突然言い出し、無理やり時間をもらってやらせてもらったゲリラライブ、の図。

子ども達に中国の笛の音を聴かせてくれました。

 

フランス人のトーマは、自宅工房で様々な笛を製作し、旅をしているとのこと。

穏やかな表情で笛を吹いたあとの、子どものような笑顔が忘れられません。一瞬にして皆の心がﾊﾞﾀｰのように溶け出すほどの、無防備で子どものような笑顔でした。

 

もしかしたら、もう二度と会うことはないかもしれないけれど、ほんの一瞬でも彼の人生の時間と私達のそれとが重なりあうことができたことに感謝します。元気でね、ありがとう！！

 

 

弟子屈は今、実りの季節です。辻谷商店横のくるみの木には、今年もくるみが重たそうに枝をしならせています。近所のくるみおばさんに先を越されないうちに収穫してしまわなければなりません。

 

「そこ、そこ、もっと右！」「いそげ、いそげ、くるみおばさんに見つかるぞ！」

 

どんぐりも、この通り！

 

今日は夕方から倅達とくるみ採りです。それでは、ごきげんよう！　　あや

 

 

 

 

 
  
  

 

たぶん売り上げにつながらないであろうと予測される、新入荷案内！！

本日うす曇り、気温ぬるめの風そよそよな弟子屈からコンニチハ！９月に入っても辻谷商店には沢山の方々がみえて、ことにつじや食堂は１２時のオープンと共ににぎわっている毎日です。食事をする場所に人が沢山いる光景や、お皿、スプーン、グラスなどが触合ってたてる音もなんとも幸せなもの。そこにＫａｔｚの選んだ音楽と、お客さんの楽しそうな話し声、スタッフＮ美嬢の笑い声などが混じって、毎日シヤワセな時間を過ごしています。ありがとう！

さて、辻谷商店にも秋の入荷です。

ＵＳＥＤの「Ｐａｔａｇｏｎｉａ」ナイロンジャケットとフリース、マウンテンブーツ、メキシカンラグが届きました。Ｐａｔａｇｏｎｉａは今回かなりコンディションの良いものや、大きめのサイズが入りました。マウンテンブーツは見ているだけで旅心に火がついてしまいそうなほど好きですが、大きめの殿方サイズがそろいました。ラグもコンディションが良く、配色が素敵です。ポンチョも何枚か入り、かぶったり、敷いたり、巻いたり・・・いろいろに使えそうなので自分でも１枚欲しいほどです。

 このいい感じにこなれた革の色を見ているだけで幸せになる・・・履いていたのはフランスのピエールさんか、はたまたドイツのフリードリッヒくんか、などと想像するのもまた楽し♪たまに名前入ってたりするし。

 
ブーツのお値段は７、８千円～１万2千円前後です。 

「Ｐａｔａｇｏｎｉａ」フリースとナイロンジャケット

 時々、道の駅に車を停めて、はねるようにしてお店にきてくれる女の子。「Ｐａｔａｇｏｎｉａ」のＫｉｄｓサイズのフリースがビッタリでした。知床は寒いから、早速着てね。ありがとう！

 「Ｐａｔａｇｏｎｉａ」ナイロンジャケット。明らかにモデルのインパクトに商品が負けている・・本人曰く、「これを着ると軽くて暖かく、超Ｈａｐｐｙになる！」という気持ちを表現している、とのこと。

納得できずもう１枚・・・

「演歌な感じ？」

 「もういいです」
  

メキシカンラグも勢ぞろいです！

秋になったしねえ、 お月見とか焚き火とかキャンプとか・・・家の中では敷物とかひざ掛けとかソファーカバーとか色々色々、です。なかでも、レイボーカラーのはポンチョになっていて、さらにフレキシブルに使えて薄いので旅にももってこい！です。

「なんで？」

「だからなんで？」「オバサン打つなよ！！」

「光の感じ、こんなで大丈夫ですかあ？」（Ｎ美嬢）

撮影の時に使う反射板みたいのをイメージしているらしい（あれ、なんていうんだっけ）。もっているのは食堂のお盆。

 こんな素敵なスタッフに恵まれて、本日も辻谷商店元気にやっております！遊びに来ってね！！

最後に、やれば「できるやないのう」な１枚。

それでは皆さん、よい週末を！バイバイ！！ 　あや

 
 
 
 
 

秋のはじめの、長い長いお便り・・・

随分とごぶさたしていました。お元気ですか？この10日足らずの間に、弟子屈は夏から秋へと移り変わり、私達には楽しいことや悲しいこと、嬉しいことや美味しいこと、新しい出会いやさよならなどなどが、ギュッと詰め込まれた時間でした。数日前には裸ん坊で泳いでいた子ども達の、真っ黒に日焼けして皮のむけた身体も急に季節外れのものとなり、秋になると決めたらあっという間に私達を置いて行ってしまうところに、今年もやっぱり道東に暮らしていることを実感するのでした。あんなに嬉しそうに舞っていたモンシロチョウ達もいっきに姿を消し、散歩途中の道の上に亡骸となって2枚の羽を重ねて落ちている様は、もうただの白い薄い紙切れのようでもあります。それでも、朽ちていくものあれば実ってくるものがあり、子ども達は熟した小さな木の実を次々と口に放り込んでは「母ちゃんも食べるか？」と尋ねるのです。大人だけが、なんとなく季節の移ろいに微調整を必要としているようで、辻谷商店も大きな町のお店のようにすっかり秋もの入荷！とはいかず、「本当に秋になってきたねえ」などといいながら、じわじわと暖かいものや、灯りのともるものを並べたり、コーヒーをすすっては友だちと話したり・・・そんな毎日を過ごしています。

今、午前3時をまわったところ。外ではビョービョーと薄気味悪い風が吹き、いよいよ寒くなってきたので食卓テーブルからＰＣを持って移動。ちゃぶ台を出し、何ヶ月かぶりにストーブのスイッチを押す。、まだ薪ストーブに火を入れる程ではないけれど、薄ら寒さに負けてスイッチについ手が伸びてしまいました。

9月最初の3日間、辻谷家恒例の「和琴キャンプ」。今年は釧路のスープカレー屋「ガルガンチュワ」家族とミックス！大人よりも圧倒的に子どもの数が多く、連日、裸率１００％なのでした。

 

 こちらも恒例、荷車で子ども達を運ぶ。運んでいるのはガルガンチュワの番ちゃんです。お互い定休日が同じなので、番ちゃんのカレーはまだ食べたことがないけれど、キャンプ中にもありとあらゆる料理をせっせとこしらえてくれた彼。本当に料理が好きなんだなあと、その料理と味に、随分Ｈａｐｐｐｙにしてもらいました。

  木陰で読書な彼女

 

ランタンの灯りで人生を語る両家の長女二人。「うちの親ってばさあ・・・」
 

 焚き火と酒とお月様の夜は更け・・・隣りにテントをはった旅人も一緒に火を囲む。彼は元気だろうか？ 

 

 私達の人生に、空の下、土の上で眠ることは必要だと再確認した3日間でした。

 

キャンプ中、突然現れ私達を釧路川に連れ出してくれた「ガイドステーションわっか」のガッテンさん、さなえちゃん、そして直美ちゃん、本当に本当にありがとう！！！友達っていいなあ、と、今年は何度も何度も思ったよ。

 

 

悲しい事もありました。

 

先日、私達の犬が死にました。

8月25日に私と犬は、本当に久しぶりに庭で一緒にお昼ご飯を食べ、犬語で話をしました。その彼が突然死んだのです。今年の長く続いた暑さと、いつの間にか尻尾に負っていた傷が彼の老体を驚くほどの速さで蝕んでいました。

目に見えて、手の届かない世界に行こうとしている彼を前にして、Ｋａｔｚは一生懸命お湯をかけきれいにしてあげようと必死でした。悲しさで歪んだ長女の顔は、私が彼女を生んでからこれまでで、初めて見る表情でした。息を引き取るまでのわずかな時間に、犬の瞳にはうっすらと幕がかかったようになり、みるみるグレイ色に変化していきました。その様を目の当たりにしながら、私はカメラを向けていました。こんな時に、涙を流すでもなく、まったく自分の為だけにシャッターを押している自分がとても嫌でした。それでも、もうほとんど自由の利かない体で仰向けになって見上げている彼の視線の先にある青空にもシャッターを切っていました。悲しさと自己嫌悪の入り混じった時間が流れていき、最期に2度、ビクン、ビクン、と筋肉を引きつらせたのを確認した後、完全に息絶えました。「かんたんに居なくなってしまうんだな」そう思いました。Ｋａｔｚが穴を掘り、そこに犬を横たえた時、長女の顔は青ざめ、私は自分の感情はどうなっているのだろうとまだそんな事を考えていました。「ここから先は取ってやるからな」と言い、Ｋａｔｚが青い首輪を切ってやりました。長女はその首輪を捨てることを拒み、また泣きました。１５年間の彼との暮らしに、突然終わりが来ました。

 

この出来事が、私達にとっての夏の終わりの印となりました。

 最期に彼（犬）の横顔に私も並ぶように頬を寄せ、その視線の先にある青空を一緒に眺め、シャッターを切りました。なんの為にそんなことをしたのか、自分でもわからないのでした。

 

 

その日の夜は、辻谷商店は3年ぶりとなる[Ｐｉｋａｉａ　Ｐａｎｄｅｉｒｏ　Ｓｐｅｃｉａｌ　Ｌｉｖｅ]でした。

 

 Ｔｉｍがライブの為に得意のタコスを仕込む、後すべて完売！旨し！！

 

この日は個人的に色んな感情を持ってのライブ幕開けとなりましたが、Ｐｅｔの渡辺さん、Ｐａｎｄｅｉｒｏの小澤さん、そして初めて今回お会いすることが出来たＧｕｉｔｅｒの助川さん、Ｓａｘの小森さんの音が鳴り始めたと同時に涙が止まりませんでした。胸がいっぱいになる、とはよく言いますが、溢れ出るもので身体がいっぱいになって、もうあとは身体の外に出すしかないような、涙になるしかないな、という感じでした。ここに自分が居ること、目の前に居てくれること、そのことだけで十分な程の気持ちでした。簡単に言えば、やっぱり「嬉しかった！」です。

長女が生まれた時に作ってくれた「Ｄａｎｃｅ　Ｄａｎｃｅ　Ｍｕｇｉ！」が始まる♪もうじき8歳を迎える彼女に、月日の流れを感じる。恥ずかしさと喜びでいっぱいの彼女はこの日まで「ねえ、いつ来るの？いつやるの？」と。

その後、「風と寅（ポルトガル語の名前がついている）」も続けて演奏してくれる。

渡辺さんや小澤さんのお気持ちに、身に余る幸せを受け取った瞬間でした。

 

 

 

 

 

ライブの夜のことは、いつでも上手く言い表せません。ただ、こんな小さな町の小さな店にまでやってきてくれるミュージシャンの方達に、多大なる憧れと感謝をもっていつも手を振り見送ります。

私達がただいたずらに日々を重ねている間にも、いつも楽器を手に音楽を突き詰めて生きていっている姿に、自分は本当にこれ以上ないというくらいの気持ちで、日々をやれているのだろうか、と振り返ります。

 

 

Ｐ．Ｐ．Ｓ．の音楽に、私は平和を想いました。作曲した渡辺さんがそれを意図していなくても、沢山の人の顔が浮かびました。9月5日は、忘れられない1日となりました。 

 

そんな訳で私達の夏は本当に終わり、今日は空の高い弟子屈です。もう、本当に夏に戻ることはないでしょう。

今年の夏は長かった。季節は変わっても友達や家族は変わらず側にいます。

辻谷商店、秋もいろいろ構想中。皆さんにも良い季節でありますように！長ツ！！あや
  
 
 

お知らせ、２つ。

今日もグングンとお天道様が登り、夏と秋とがゆっくりとバトンタッチしている様を体感できる弟子屈です。道東でさえこんなに暖かい日が続いているのですから、内地はまだまだ、きっぱりと夏！なのでしょうね。友だちの事を想ったりする時間が増えました・・・。みんな、元気ですか？

さて、お知らせが2つあります。まず、明日8月31日～9月3日まで、辻谷家夏休みを頂きたく下記のとおり営業時間などに変更があります。なにとぞ宜しくお願いいたします。緊急のご連絡など、水曜の定休日以外はスタッフが居てくれるので、何かありましたら辻谷商店までご連絡ください。宜しくお願いします。

8月31日（火）、9月2日（木）、9月3日（金）　辻谷商店は10時～16時半営業！　　　つじや食堂はお休み

9月1日（水）は、定休日のため辻谷商店、食堂ともお休みです。

 

もう一つ。7月から夏期間とうことで辻谷商店外のテントにて開催していました「テントセール」ですが、先週をもって終了いたしました。ありがとうございました。このセールは売り上げの一部を寄付という形で使わせて頂きたく開催、お知らせしておりました。約、2ヶ月間ということで長くはない期間でしたが、たくさんの方にご利用を頂きました。売り上げのご報告、寄付先のお知らせを近日中にさせて頂きたいと思っております。まずは、終了のお知らせとお礼まで。　　寄付先について考えていますと、例えば緊急に（微力でも）お役に立ててもらえるところはどこかしら、などを思うのですが、本当にそういう状況はたくさんたくさんありまして、益々ふがいなさや、自分の中の「片手間感」と申しますか、そういったものにぶち当たるわけですが、とにかく何も動かないことよりは良いだろうという小さな確信のみで,ちょっとずつ動いていくしかないと思っております。また、自分のポケットにたまたま入っているような何百円が、ある国では幼い子ども達の為のワクチン1本に値するのかもしれないようなことを思うとき、予防接種に対する不信感や自分の知識不足から、自分の子には受けさせないという選択をし、そういった選択ができる状況に暮らしているというありがたさに気づいていなかった自分を恥ずかしく思ったりしております。

明日からの休暇、ざわつく気持ちにいい空気を入れて、色々と考えてみたいと思っています。また、改めてご報告いたします。それでは、また！　　　　　あや

＜つじや食堂 臨時休業のお知らせ＞
明日、8月29日（日）は、子ども達の運動会に参加してきます。
その為、つじや食堂はおやすみさせていただきます。
カレー食べに行こうかな、と思ってくれてた方がたごめんなさい！

辻谷商店はいつもどうり１０：００～１８：００まで元気に営業しています。
美人店員Ｎ美ちゃんが、お待ちしています。

宜しくお願いおたします！
皆さんにとってＨａｐｐｙな週末でありますように。 辻谷商店 店主より

海へ

夕刻、子ども達を車に乗せて網走の海へと向った。夏の終わりにはどうしてか、網走の海に来ていることが多い。海の側で育った為か、近くに海がないと自分の身をどこへおいて良いのか分からないような時期があったが、こうして海の側にくると、未だにその名残が残っているのだなあと実感する。海のない所にいると、四角い大きな箱の中にいるような感覚になる。その箱はとてつもなく大きいので目には見えないのだけれど、なんせ箱の中なのでどことなく狭い所に居るようである。海が見えてくると、大きな箱のふたが開かれているような感覚があって、自由だ。

それでも、ここは私の育った太平洋とは違っている。網走の海には、その向こうに何か気配というかアリバイのようなものがあって、太平洋にはそれがない。どちらがいいとか好きとかいうことではなくて、自分にはいつもそんな風に感じられる。ここはとても好きな所で、今日来られて嬉しかった。

  
海を見ていると、背後に一両編成の電車がやってくるのに気がつく。ちょっと砂浜を降りて波打ち際近くからそれを眺めると、丁度小高くなった砂浜に線路が隠れて、まるで砂の上を走ってくるみたいだ。

 

上の娘にＫａｔｚと写真を撮ってもらった。後から見ると、沢山の写真を撮っていて、中には父親の足跡もあった。
 

 

 

 

Ｐｈｏｔｏ：Ｍｕｇｉ

 

 

 

鍋とラーメンと犬と私、そしておばあちゃん・・・

いつもなら定休日の今日、水曜日だが、美人店員Ｎ美ちゃんに辻谷商店はお任せして、休みをもらっている。子ども達はそれぞれ学校、保育園と決められたソサイエティーの中へしぶしぶと出かけて行き、先ほどＫａｔｚも「郷ちゃんとこにマツタケ食べに行ってくるわあ」と、阿寒方面ポロンノに向って出かけていった。

全くの一人になったので、いつもはしないことでもしてみようかと思いたって、インスタントラーメンを鍋まんま食べてみることにした。普段、米も鍋で炊いているのだが、炊きたてを茶碗によそって食べるより、最後鍋肌に残ったやや冷えたご飯を、しゃもじでこそぎとって食べるときの方が何倍も美味しいような気がする。それで、ラーメンもそれがインスタントであってフライ麺であって、付属のスープも粉末であればあるほど、鍋からやった方が美味しいのではないかしらと気になっていた。もちろん、この時に冷蔵庫に残っているからといって、キャベツを入れたりしてはいけない。卵を落とすなどというのは、もっての他。麺と麺の間に微かに確認できる乾燥ネギと、塩ラーメンだけに許された数十粒のゴマのみで十分。今日はあえて、茹で時間１分長めのやや柔らか麺でいってみよう。

いつもやらないことついでに、庭にいる犬と昼食を共にすることにした。そして、いつもはやらないけど、昨日買ったばかりの豚バラミンチ１パック全部をエサとし、いつもはやらないけど牛乳１パック全部を飲み物とした。いつもは牛乳を水で１．５倍に希釈するのだが、今日はそんなことはしなかった。

私が犬と共に昼食を始めようとした矢先に、雲が切れて晴れ間が広がった。私は犬に、いつもなら「うまいか？うまいか？」と聞くけど、今日は「ワワワンワ？ワワワンワ？」とか言ってみた。犬はいつもは何も応えないけど、今日も何も応えなかった。私の塩ラーメンには瞬く間に小さな飛ぶ虫たちが飛び込んできた。私はいつもなら指先でつまんで取り出すけど、今日はそれほど気にならなかったのでそのまま食べすすんだ。食べていると、死んだ実家の祖母のことを思い出していた。

実家の砂糖つぼには、日常的にアリが沢山入っていたのだが、祖母はよく「かまん、かまん」といってそのままお餅などにかけて食べていた。砂糖つぼには２種類あって、一つは白砂糖、もう一つは赤っぽい砂糖で三温糖だった。なぜか三温糖の方がアリには人気があって、アリ自体も赤っぽくて小さくて噛まれると痛い種類だった。「おばあちゃん、平気なが？（土佐弁）」と聞くと、「アリも滋養よね。なんちゃあやない（たいしたことない）。」と言い切っていた。たまに、明らかにこのアリ入り砂糖のせいで祖母の口の中は腫れていたけれど、それさえも「なんちゃあやない」のであった。

我に返ると、犬はミンチを全部平らげて私を見上げていた。私も残りの麺をすくって食べて、スープを飲もうとしたけど、鍋が熱くて飲めなかった。スープが飲めないラーメンには、どこか成仏しきれない感情が残る。そこで犬に「ワワンハ、ワワワンワ？ワ？（おまえも飲んでみたいか？え？）」と声をかけ、いつもなら自分達の食べているモノをその場では与えないのだが、今日は彼のお皿にもいくらか注いでやって、一緒に飲んだ。

いつもはやらないことをしていたら、いつもは思い出さない祖母を思い出した。なんだか嬉しいような申し訳ないようなそんな気持ちになって、いつもはやらないけど、野の花を摘んでテーブルに飾ってみた。シュビドゥバ♪　　あや

ゲリラランチに、わずかに狼狽する私の犬と、私。せつない夏の終わりのひととき。

秋

トウキビ畑を抜けて走る仕事帰りの夕刻時、風には確実に秋のにおいが混じっています。ザワザワとかすかにこすれあうトウキビ達は、夕焼け空にメタリックに浮かぶお月様に照らされて、幻想的でした。

トウキビ畑の間を風になって抜ける

　　　　　　 Ｐｈｏｔｏ：Ｍｕｇｉ
  

昨日今日、モンシロチョウやモンキチョウたちが、やたらにそこかしこをヒラヒラと舞うのを見ました。あと何日この世界に生きるのでしょう。沿道に咲く野生の花の色が鮮やかであればあるほど、もう夏は終わりなのだということを告げているかのように感じます。

夏の終わりには、一つ歳月を重ねたことを実感するのです。大晦日よりもずっと実感するのです。お盆休みを過ぎてもまだまだつじや食堂には沢山の方がみえます。今日も変わらずやっています。

「秋」っていう字を見ていると、こんな字だったっけと思います。もうちょっとロマンチックな形してたような。　あや
 

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　

虹を見たかい？

 

きのう、ぼかあ虹を見た

それはまさに　虹のイデア

虹がどうしてできるかを

ぼかあ良くは知らないけれど

知らないままでよかったな

そう思うような虹だった

 

もうじき娘が帰ってくるよ

自転車こいで帰ってくるよ

今頃きっとその目にも

この虹が映っているんだろうな

 

できれば虹のはじまりを

たしかめたいとそういって

虹を追いかけ走り出す

そんな娘でいて欲しい

 

とうちゃんはそう思っているよ

かあちゃんもそう、思っているよ

 

コーヒー豆みたいに日焼けした

娘がゴールにやってきた

「虹をみたかい？」

「虹をみたかい？」

 

ふりかえったらもう

虹はなかった

だけどぼかあ、そのわけを

よーくよーく知っている

 

「おかえり！」